導入
実務で Python を書くとき、プロジェクトごとに使う外部ライブラリやそのバージョンが異なります。1つの Python 環境に何もかも入れてしまうと、あるプロジェクト用に入れたライブラリのバージョンが、別のプロジェクトを壊してしまうことがあります。それを防ぐのが仮想環境です。
説明
外部ライブラリのインストールには pip(Python の標準パッケージ管理ツール)を使います。
pip install requests
これだけで requests のようなライブラリがインストールされ、import requests で使えるようになります。ただし、これを何も考えずに実行すると、パソコン全体で共有される Python 環境に入ってしまいます。
そこで使うのが**仮想環境(venv)**です。プロジェクトごとに独立した Python 環境を作り、そのプロジェクト専用にライブラリをインストールします。
flowchart TB py["パソコン全体のPython"] --> a["プロジェクトA用の仮想環境<br/>requests 2.31 / pandas 2.0"] py --> b["プロジェクトB用の仮想環境<br/>requests 2.25 のみ"]
作り方は、Python に標準で入っている venv モジュールを使います。
python -m venv .venv
これでプロジェクトのフォルダに .venv という仮想環境ができます。使うには**有効化(activate)**が必要です。
# Windows (PowerShell)
.venv\Scripts\Activate.ps1
# macOS / Linux
source .venv/bin/activate
有効化すると、ターミナルの表示に (.venv) のような印が付き、以降 pip install したライブラリはこの仮想環境の中だけにインストールされます。作業が終わったら deactivate で元に戻せます。
プロジェクトで使っているライブラリの一覧は、慣習として requirements.txt というファイルにまとめます。
requests==2.31.0
pandas==2.0.3
他の人がこのプロジェクトを動かすときは、次の1行で同じライブラリ一式を再現できます。
pip install -r requirements.txt
こうしておけば、「自分のパソコンでは動くのに、他の人のパソコンでは動かない」というバージョン違いのトラブルを避けやすくなります。
まとめ
pipは Python のパッケージ管理ツール。pip install ライブラリ名で導入する。- 仮想環境(
venv)はプロジェクトごとに独立した Python 環境。ライブラリのバージョン衝突を防ぐ。 python -m venv .venvで作成し、activateで有効化してから使う。- 使用ライブラリは
requirements.txtにまとめ、pip install -r requirements.txtで再現する。
おわりに
お疲れさまでした。ここまでで、Python の基礎から、例外・ファイル・内包表記の発展形・標準ライブラリ・型ヒント・デコレータやジェネレータ・環境構築まで、実務でも使う一通りの道具を学びました。あとは実際に手を動かして、小さなプログラムを自分で組み立てていくのが一番の近道です。分からなくなったら、この教材にいつでも戻ってきてください。