導入
システムが1つのVPCに収まらなくなったとき、あるいはオンプレミスとAWSをつなぐとき、SAAには4つの接続手段が用意されています。どれも似た目的に見えますが、規模とコストと遅延で明確に使い分けます。
説明
VPC同士の接続
| 方式 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| VPCピアリング | 1対1のVPC接続。推移的ではない(AとBが繋がっていても、BとCが繋がっていればAとCが自動で繋がるわけではない) | 少数のVPC間だけを直接つなぎたい |
| Transit Gateway(TGW) | 多数のVPC・オンプレをハブ&スポーク型で一元接続 | VPCやアカウントの数が多く、集中管理したい |
flowchart TD
subgraph Peering["VPCピアリング(非推移的)"]
A1["VPC-A"] <--> B1["VPC-B"]
B1 <--> C1["VPC-C"]
A1 -.->|"直接は繋がらない"| C1
end
flowchart TD
TGW["Transit Gateway<br/>(ハブ)"]
VPCa["VPC-A"] --- TGW
VPCb["VPC-B"] --- TGW
VPCc["VPC-C"] --- TGW
OnPrem["オンプレミス"] --- TGW
オンプレミスとの接続
| 方式 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| Site-to-Site VPN | インターネット経由でIPsec暗号化トンネルを張る | すぐに・低コストで接続したい。冗長経路も可 |
| Direct Connect(DX) | AWSとオンプレを専用線で物理的に接続 | 安定した低遅延・大容量帯域が必要。VPNより高コスト・構築に時間がかかる |
DXとVPNは併用も可能で、DXを平常時のメイン経路、VPNをDX障害時のバックアップ経路にするフェイルオーバー構成もSAAでは定番です。
具体例
成長する企業のネットワークが、段階的に接続方式を変えていく様子を追うと4択が腹落ちします。
- VPCが2つだけの頃 → ピアリング … 開発VPCと共有VPCを1対1でつなぐだけなら、シンプルなVPCピアリングで十分。ただし推移的でないので、3つ目のVPCと繋ぎたければ配線を1本ずつ足す必要がある。
- VPCが10個・アカウントも複数に増えた → Transit Gateway … ピアリングでは配線が組み合わせ爆発。中央ハブのTGWに各VPCとオンプレを1本ずつつなぎ、集中管理へ。
- 本社オフィスとAWSをつなぐ → まずSite-to-Site VPN … インターネット経由で当日中に暗号化トンネルを構築。低コスト・短期。
- 工場から毎日TB級の設計データを安定送信 → Direct Connect … VPNだと速度がブレる。専用線のDXで安定・低遅延・大容量。さらにDXをメイン、VPNを障害時のバックアップにするフェイルオーバー構成も定番。
判断軸は「VPC同士か・オンプレか」×「コストと速度のトレードオフ」。少数VPC=ピアリング、多数=TGW、オンプレ手軽=VPN、オンプレ安定=DX、と対応させます。
読んでみよう
「多数のVPCを集中管理」→ Transit Gateway。「1対1で十分」→ ピアリング(ただし推移的でない点に注意)。「今すぐ低コストで」→ VPN。「安定した専用線・大容量・低遅延」→ Direct Connect。この4択の判断基準は、規模(VPC同士か、オンプレか)とコスト・速度のトレードオフで決まります。