導入
設計を始める前に、「どこまでがAWSの責任で、どこからが自分の責任か」と「AWSの物理的な広がり」を、設計者の視点で整理しておきます。これらは以降のすべての設計の土台になります。
説明
責任共有モデル(Shared Responsibility Model) は、セキュリティと運用の責任をAWSと利用者で分担する考え方です。
- AWSの責任(Security of the Cloud):データセンター、物理サーバー、ネットワーク、ハイパーバイザーなど「クラウドそのもの」を守る
- 利用者の責任(Security in the Cloud):IAMの設定、データの暗号化、OSやアプリのパッチ、セキュリティグループの設定など「クラウドの中に置いたもの」を守る
設計者としては、「自分の責任範囲を、いかに自動化・冗長化・暗号化して守るか」が仕事になります。
次に、AWSの物理的な広がり グローバルインフラ を、設計者の視点で押さえます。
| 単位 | 意味 | 設計上の意味 |
|---|---|---|
| リージョン(Region) | 地理的に離れた地域(東京、大阪、バージニアなど) | データの所在地・法規制、災害対策の単位 |
| アベイラビリティゾーン(AZ) | リージョン内の独立したデータセンター群 | 高可用性の基本単位(複数AZに分散する) |
| エッジロケーション | CDN(CloudFront)の配信拠点 | ユーザーに近い場所からの高速配信 |
設計の鉄則:本番システムは必ず 複数のAZにまたがって(Multi-AZ) 構成します。1つのAZ(データセンター)が丸ごと落ちても、別のAZで動き続けられるからです。これがSAA全体を貫く最重要の原則です。
読んでみよう
「Multi-AZは可用性、Multi-Regionは災害対策とグローバル展開」という対比を覚えておいてください。第8章の回復性設計で、この考え方を本格的に使います。まずは「本番=複数AZ」を体に刷り込みましょう。