導入
ここまでのオブジェクト・ブロック・ファイルストレージを整理し、さらにオンプレミスとAWSをつなぐハイブリッド構成のサービス群を押さえます。SAAのストレージ分野の総まとめです。
説明
まずストレージの種類を選ぶ基本的な判断フローです。
flowchart TD
Q1["どんな形のデータ?"] -->|画像・動画・ログなどのファイル単位| Q2["複数サーバーから<br/>同時アクセスが必要か?"]
Q1 -->|EC2にアタッチするディスク| EBS["EBS"]
Q1 -->|大量・非構造化データを<br/>API経由で保管| S3["S3(オブジェクトストレージ)"]
Q2 -->|はい| EFS["EFS / FSx"]
Q2 -->|いいえ| EBS2["EBS"]
| 種類 | 代表サービス | データの単位 | 同時アクセス |
|---|---|---|---|
| オブジェクトストレージ | S3 | オブジェクト(キー+値) | 多数のクライアントから可能 |
| ブロックストレージ | EBS | ブロック(ディスク) | 基本1台のEC2に限定 |
| ファイルストレージ | EFS、FSx | ファイル階層 | 複数サーバーから同時マウント可能 |
次に、オンプレミスとAWSをつなぐ・移行するサービス群です。
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Storage Gateway(File Gateway) | オンプレミスからNFS/SMBでアクセスし、裏側はS3に保存 |
| Storage Gateway(Volume Gateway) | オンプレミスにiSCSIブロックストレージを提供、裏側でAWSにバックアップ |
| Storage Gateway(Tape Gateway) | 既存のテープバックアップ運用を仮想テープとしてAWSに保存 |
| DataSync | オンプレミス⇔AWS間の大量データを高速・自動でオンライン転送 |
| Snowファミリー(Snowcone/Snowball/Snowmobile) | ネットワークが細い・データ量が膨大な場合に、物理デバイスでデータを輸送 |
flowchart LR
ON["オンプレミス"] -->|ネットワーク経由・大量データ| DS["DataSync"]
ON -->|ネットワークが細い/超大容量| SNOW["Snowファミリー(物理輸送)"]
ON -->|既存アプリはNFS/iSCSIのまま| SGW["Storage Gateway"]
DS --> S3["S3等"]
SNOW --> S3
SGW --> S3
具体例
オンプレミスのファイルサーバーをAWSへ移す製造業の会社を例に、状況別の手段を並べてみましょう。
- 既存アプリはNFSのまま使い続けたい(改修したくない)→ Storage Gateway … 社内からは今まで通りファイルサーバーに見えるが、裏側はS3に保存。アプリを一切変えずにクラウドストレージを併用できる。
- 今後、毎晩発生する差分データをオンラインで自動転送 → DataSync … 回線があるなら、DataSyncで高速・自動同期。手作業スクリプトより速く確実。
- 過去10年分の設計データ500TBを一括移行、しかも回線が細い → Snowファミリー … オンラインでは何か月もかかるので、物理デバイス(Snowball)に入れて宅配便でAWSへ。ペタバイト級ならSnowmobile(トラック)も。
判断は2軸で整理します。「ストレージの種類(オブジェクト/ブロック/ファイル)」と「移行手段(既存維持=Storage Gateway/オンライン=DataSync/物理輸送=Snow)」。この2軸を押さえれば、ストレージ分野の問題は迷いません。
読んでみよう
「オンプレミスのファイルサーバーをクラウドにシームレスに拡張したい(既存アプリの変更を最小化)」→Storage Gateway、「大量データをオンラインでできるだけ速く移行したい」→DataSync、「回線が細い、またはペタバイト級で物理輸送の方が速い」→Snowファミリー、という判断基準が定番です。ストレージの種類(オブジェクト/ブロック/ファイル)と、移行手段(オンライン/物理)の2軸で整理しておくと、この分野の問題に強くなります。