導入
SAP最大の特徴は、「1つのアカウントの中の設計」から「複数アカウントをまたいだ設計」へ視点が上がることです。なぜ組織はアカウントを分けるのか。その動機を先につかむと、第2章以降の統治の話が腑に落ちます。
説明
小さなシステムなら1つのAWSアカウントで十分ですが、組織が大きくなると 複数のアカウントに分割 するのが定石です。分ける理由は主に次の4つです。
| 分ける理由 | 具体例 |
|---|---|
| 分離(Blast Radius の限定) | 本番と開発を別アカウントにし、事故の影響範囲を閉じ込める |
| セキュリティ境界 | アカウント単位で権限・データを隔離する |
| 課金の分離 | 事業部・プロジェクトごとにコストを可視化・按分する |
| 制限の緩和 | サービスクォータはアカウント単位。分ければ枠が増える |
こうして増えたアカウントを、バラバラに放置すると統制が効きません。そこで AWS Organizations で全アカウントを1つの組織にまとめ、OU(組織単位) でグループ化し、SCP(サービスコントロールポリシー) で「そもそも何を許すか」の上限を一括でかけます。
flowchart TD
ROOT["管理アカウント<br/>(AWS Organizations)"] --> OU1["OU: 本番"]
ROOT --> OU2["OU: 開発"]
ROOT --> OU3["OU: セキュリティ"]
OU1 --> A1["本番アカウントA"]
OU1 --> A2["本番アカウントB"]
OU2 --> A3["開発アカウント"]
OU3 --> A4["ログ集約アカウント"]
読んでみよう
「1アカウント1システム」から「たくさんのアカウントを組織として束ねる」へ ―― この発想の転換がSAPの入り口です。第2章では、この Organizations・OU・SCP・Control Tower を使った マルチアカウント統治 を本格的に学びます。ここでは「大きな組織はアカウントを分ける。分けたら束ねて統治する」という骨格だけ押さえてください。