導入
7つのRのどれを選ぶかを決めるには、そもそも「今、何が、どう動いているか」を把握していなければなりません。数百台規模のサーバー群を移行する現場では、この**現状把握(アセスメント)**が最初の、そして最も時間のかかる工程です。
説明
大規模移行のアセスメントと計画は、次の流れで進みます。
flowchart TD
D["AWS Application Discovery Service<br/>(現状のサーバー・依存関係を発見)"] --> P["ポートフォリオ評価<br/>(サーバーごとに7つのRを割り当て)"]
P --> T["TCO試算<br/>(AWS移行後の総コストを見積もる)"]
T --> H["AWS Migration Hub<br/>(移行全体の進捗を一元管理)"]
AWS Application Discovery Service は、オンプレミスのサーバー群にエージェントを入れる(またはエージェントレスでVMware環境をスキャンする)ことで、CPU/メモリ使用率・ネットワーク接続・プロセス間の依存関係を自動収集するサービスです。「どのサーバーが、どのサーバーと通信しているか」が分からないまま移行すると、依存関係を壊してシステムを止めてしまいます。移行前の現状把握に使います。
収集したデータをもとに、サーバー1台ずつに「Rehostか、Refactorか」といった戦略を割り当てる作業をポートフォリオ評価と呼びます。数百〜数千台規模になると、全部を同じ戦略で移すことは現実的でなく、優先度・依存関係・移行コストを見ながらグルーピングして計画します。
さらに、経営層への説明や投資判断のために、TCO(総所有コスト)試算を行います。AWS Migration Evaluator(旧TSO Logic)というツールで、オンプレでの現在のコストとAWS移行後の推定コストを比較したレポートを作成できます。
こうして立てた計画を実行する際、複数のツール(Application Migration Service、Database Migration Service等)で進む多数のサーバー・アプリの移行状況を1箇所で追跡するのが AWS Migration Hub です。個々の移行ツールの実行状況を、Migration Hubのダッシュボードから横断的に把握します。
| フェーズ | 主なサービス |
|---|---|
| 現状発見 | Application Discovery Service |
| コスト試算 | Migration Evaluator |
| 移行の一元管理 | Migration Hub |
読んでみよう
「まず何をすべきか」という導入部の問いには、現状把握(Discovery)が最初という原則を思い出してください。データも依存関係も分からないまま移行計画を立てる選択肢は、SAPでは基本的に不正解です。Migration Hubは「移行を実行するツール」ではなく「進捗を一元管理するダッシュボード」である点も、選択肢の見分けに役立ちます。