導入
SAAに合格したあなたが次に目指すのがSAPです。SAAが「良い設計を1つ選べるか」なら、SAPは「制約だらけの現実の組織で、最もマシな設計を選び抜けるか」を問います。まずはゴールの形と、難しさの正体を知りましょう。
説明
AWS認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル(SAP-C02) は、AWSでの高度なシステム設計・移行・運用改善のスキルを認定する、プロフェッショナルレベルの資格です。受験の前提知識として「AWSでの2年以上の設計・運用経験」が推奨されるほど、実務寄りで難度が高い試験です。
試験は 4つのドメイン から出題され、配点の重みが決まっています。
| ドメイン | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 1. 組織の複雑さに対応する設計 | マルチアカウント統治、複雑なネットワーク、横断的な認証・課金 | 26% |
| 2. 新しいソリューションの設計 | 事業継続、セキュリティ、信頼性、性能、コストを満たす新規設計 | 29% |
| 3. 既存ソリューションの継続的な改善 | 運用・監視・セキュリティ・性能・コストの改善 | 25% |
| 4. ワークロードの移行とモダナイゼーションの加速 | 移行戦略(7つのR)、移行ツール、モダナイズ | 20% |
SAAとの一番の違いは、問題文の長さと、制約の多さです。SAAが2〜3行で要件を問うのに対し、SAPは1問が長文で、「既存はオンプレのこういう構成」「複数の事業部がある」「予算はこれだけ」「移行は無停止で」といった複数の制約が同時に課されます。
flowchart LR
A["SAA: どれを選ぶ?<br/>(1つのシステムの最適設計)"] --> B["SAP: 制約の中で<br/>どう組み合わせ・統治するか<br/>(組織全体・既存資産・移行込み)"]
- 出題形式: 75問(採点対象は約65問)、選択式(単一選択・複数選択)
- 試験時間: 180分(SAAの130分より長い=1問が重い)
- 合格ライン: 1000点満点中750点(スコアリング方式)
具体例
SAAとSAPの「重さ」の違いを、同じテーマの問い方で比べてみましょう。
SAAふう(短い・単一要件):オンプレのMySQLをAWSへ移行したい。適切なサービスは? → DMS。1つの要件、1つの答え。
SAPふう(長文・複数制約が同時に):ある製造業は、①オンプレに10年動く基幹DB(Oracle)と20台の業務サーバーがあり、②移行は業務を止められず、③本番と開発は別部門でコストを分けたい、④監査部門が全操作の記録を求め、⑤予算は限られ過剰投資は避けたい。この状況で最も適切な移行・構成の組み合わせは?
SAPでは、この5つの制約を同時に満たす選択肢を選び抜きます。DBは無停止でDMS+SCT、サーバーはMGN、部門別コストはOrganizationsの一括請求とアカウント分割、監査はCloudTrail集約…と、複数サービスの組み合わせが答えになります。「どれか1つ動くもの」ではなく「すべての制約に釣り合う組み合わせ」を選ぶのがSAP。だから1問が長く、180分という時間もそれを見越しています。
読んでみよう
SAPは「知識を知っているか」ではなく「トレードオフを裁けるか」の試験です。多くの選択肢が技術的には正しく動きますが、「運用負荷が最小」「コストが最小」「無停止で移行できる」といった要件のキーワードに最も合う1つだけが正解になります。この後の章では、各サービスを学ぶときに常に「どんな制約のときに、他ではなくこれを選ぶのか」を意識してください。