導入
SAPでは、SAAで学んだEC2やS3といった基本サービスに加えて、「組織」「横断ネットワーク」「移行」を担う一段上のサービス群が主役になります。この後の章で深掘りする前に、全体の地図を先に見ておきましょう。
説明
SAPで繰り返し登場するサービスを、4ドメインに沿って整理します。名前と「何を解決するか」を、今はざっくり結びつけておけば十分です。
| 領域 | 主要サービス | 何を解決するか |
|---|---|---|
| 組織の統治 | Organizations / Control Tower / SCP / IAM Identity Center | 多数のアカウントを統制・標準化する |
| 横断ネットワーク | Transit Gateway / PrivateLink / Direct Connect / VPN | 多数のVPCやオンプレを安全につなぐ |
| 事業継続・DR | Route 53 / Aurora Global / DynamoDB Global Tables / AWS Backup | 障害・災害からの復旧を設計する |
| 移行 | MGN / DMS / DataSync / Snow Family / Migration Hub | オンプレの資産をAWSへ運ぶ |
| モダナイズ | ECS / EKS / Fargate / Lambda / Step Functions | 移した後、疎結合・サーバーレスへ作り替える |
| セキュリティ横断 | GuardDuty / Security Hub / Macie / KMS | 組織全体の脅威検知・暗号化・監査 |
具体例
ある小売企業が「オンプレの基幹システムをAWSへ移し、全社のクラウドを近代化する」プロジェクトを立てました。やることを、この地図の4領域に振り分けてみましょう。
- 組織の統治 … 事業部ごとにアカウントを分け、Organizations+Control Towerで標準化、SCPでガードレール、IAM Identity Centerで社員のSSO。
- 横断ネットワーク … 増えるVPCとオンプレを、Transit Gatewayのハブに集約。オンプレとは大容量のDirect Connectで接続。
- 事業継続・DR … 基幹DBはAurora Global Databaseで別リージョンへ、重要データはAWS Backupで一元バックアップ。
- 移行・モダナイズ … サーバーはMGN、DBはDMSで無停止移行し、Migration Hubで進捗管理。移行後はモノリスをECS/Lambdaへ段階的に作り替える。
1つのプロジェクトで4領域すべてが登場し、しかも互いに絡み合います(例:アカウント分割の方針がネットワーク設計を左右する)。SAPの設計判断とは「この4領域を、与えられた制約の中でどう組み合わせるか」。各章を進めるたびに、この地図のどこを深掘りしているか確認してください。
読んでみよう
SAPの学習は「新しいサービスの暗記」に見えて、実は「基本サービスを、組織規模でどう束ねるか」の学習です。この地図を手元に置き、各章を進めるたびに「今どの領域を深掘りしているか」を確認してください。次章からは、まず最も配点比重の考え方の土台となる「組織の複雑さへの対応(マルチアカウント統治)」に入ります。