導入
アカウントを分けると、今度は「請求書がアカウントの数だけバラバラに届く」問題が起きます。AWS Organizations は課金も一元化でき、しかもまとめることでボリューム割引の恩恵も受けられます。
説明
一括請求(Consolidated Billing) は、AWS Organizations の管理アカウントに、組織内の全メンバーアカウントの請求を一本化する機能です。単なる合算にとどまらず、次のメリットがあります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 単一の請求書 | 全アカウント分の支払いを管理アカウントに集約できる |
| ボリュームディスカウント | S3やデータ転送量などの段階制割引が、組織全体の使用量を合算した上で適用される |
| Savings Plans / リザーブドインスタンスの共有 | あるアカウントで余った割引枠を、他アカウントの利用にも自動で回せる(共有は既定で有効。無効化も可能) |
| 無料利用枠の共有(該当する場合) | 新規アカウントの無料枠なども組織単位で扱える |
コストを「誰が・何に使ったか」で可視化するための仕組みが2つあります。
| 仕組み | できること |
|---|---|
| コスト配分タグ(Cost Allocation Tags) | リソースに付けたタグ(例 Project=Alpha)ごとにコストを集計する |
| Cost Categories | タグだけでなく、アカウントID・サービス名などのルールを組み合わせて、事業部やチーム単位の独自カテゴリでコストを分類する |
さらに、超過検知には AWS Budgets(予算超過をアラート)、可視化には Cost Explorer、大規模組織の詳細な明細分析には CUR(Cost and Usage Report) をS3経由でAthena/QuickSightと組み合わせる、という構成が定番です。
flowchart LR
M["管理アカウント<br/>(一括請求)"] --> A1["アカウントA"]
M --> A2["アカウントB"]
M --> A3["アカウントC"]
A1 --> USAGE["使用量を合算"]
A2 --> USAGE
A3 --> USAGE
USAGE --> DISC["ボリューム割引・RI/SP共有を<br/>組織全体で最大化"]
具体例
100個のアカウントを持つ企業が、一括請求で得られる恩恵と、コストの見える化を両立させます。
まとめる恩恵(一括請求):各アカウントがバラバラにS3を使うと、それぞれが段階制割引の低い段でしか割引を受けられません。一括請求なら組織全体の使用量を合算して割引段が上がり、総額が下がる。さらに、ある本番アカウントが3年分買ったリザーブドインスタンスの余った枠を、別アカウントが自動で使えるので無駄が出ません。
見える化(誰がいくら使ったか):ここで要件によって道具が分かれます。
- 「プロジェクト単位で費用を追いたい」→ 全リソースに
Project=Alpha等のコスト配分タグを付けて集計。 - 「タグだけでは表せない“事業部”で分けたい(アカウントID+サービス名の組み合わせルール)」→ Cost Categoriesで独自カテゴリを定義。
SAPの勘所は「アカウントで分離するか、タグ/Cost Categoriesで分類するか」のトレードオフ。アカウント分割は最も明確な課金分離ですが、アカウントを増やしすぎたくないならタグ+Cost Categoriesで代替する選択肢も正解になり得ます。
読んでみよう
SAPでは「事業部ごとにコストを追いたいが、アカウントは分けたくない/分けている」という要件で、タグ設計とCost Categoriesの使い分けを問われます。「アカウントで分離」は最も明確な課金分離ですが、アカウントを増やしすぎない前提なら「タグ+Cost Categories」で代替する選択肢も正解になり得る、という比較の目線を持っておいてください。