本文へスキップ
BecomeCoder

AWS SAP(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)コース · 第3章 複雑な組織のネットワーク設計 · レッスン14

AWS Transit Gateway ― ハブ&スポークで多数VPC/オンプレを束ねる

導入

VPCピアリングの「N対Nで爆発する」問題を解決するのが AWS Transit Gateway(TGW) です。すべてのVPCとオンプレ接続を1つの中央ハブに接続し、ハブが中継する ハブ&スポーク型 のアーキテクチャに切り替えます。

説明

Transit Gatewayは、リージョンレベルの仮想ルーターです。各VPCやオンプレのVPN/Direct Connectを、TGWに1本ずつアタッチするだけで、TGWを介して全体が通信できるようになります。VPCの数が増えても、増えるのは「TGWへのアタッチメント」1本だけです。

flowchart TD
    TGW["Transit Gateway<br/>(中央ハブ)"]
    V1["VPC 本番A"] --- TGW
    V2["VPC 本番B"] --- TGW
    V3["VPC 開発"] --- TGW
    V4["VPC 共有サービス"] --- TGW
    ONP["オンプレ<br/>(VPN/Direct Connect)"] --- TGW

TGWの重要な機能が Transit Gateway ルートテーブル です。1つのTGWに複数のルートテーブルを持たせ、アタッチメントごとにどのルートテーブルを使うかを指定することで、「本番同士は通信できるが、開発からは本番に届かない」 といったセグメント分離を実現できます。

ルートテーブル関連付けるアタッチメントできること
本番用VPC本番A・VPC本番B・共有サービスVPC本番同士・共有サービスと通信可
開発用VPC開発・共有サービスVPC開発と共有サービスのみ通信可(本番へは不可)

またTGWは リージョン間ピアリング(Transit Gateway Peering) にも対応し、複数リージョンのTGW同士をつないでグローバルなネットワークを構築できます。VPCピアリングと異なり、TGW自体は中継の役割に特化しているため、大規模なハブ&スポークに向いています。

具体例

前のスタートアップが、45本のピアリングをTransit Gatewayへ移行しました。全VPCとオンプレ接続を中央のTGWに1本ずつアタッチするだけで、放射状(ハブ&スポーク)につながります。VPCが増えても、増えるのはアタッチメント1本だけ。管理が一気に楽になりました。

さらにセキュリティ要件が加わります——「開発環境から本番環境へは絶対に通信させたくない」。TGWのルートテーブルでこれを実現します。

  • 本番用ルートテーブル(本番VPC群+共有サービスVPCを関連付け)… 本番同士と共有サービスは通信可
  • 開発用ルートテーブル(開発VPC+共有サービスVPCを関連付け)… 開発は共有サービスにだけ届き、本番へは経路がない

こうして1つのハブの中で、通信を許す範囲をセグメント分離できます。ピアリングでは「つなぐ/つながない」の全か無かでしたが、TGWはルートテーブルで細かく制御できるのが強み。「多数VPC+オンプレ+ルーティング分離」と来たらTGWです。

読んでみよう

問題文に「数十のVPCを接続」「オンプレとも接続」「本番と開発でルーティングを分離したい」とあれば、まずTransit Gatewayを疑ってください。「VPCピアリングでは管理できない規模を、1つのハブと複数のルートテーブルで解決する」がTGWの存在意義です。

次のレッスンへ →