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AWS SAP(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)コース · 第10章 移行とモダナイゼーション、そして試験対策 · レッスン54

移行の全体像と7つのR ― Rehost/Replatform/Repurchase/Refactor/Retire/Retain/Relocate

導入

「オンプレのシステムをAWSに移す」と一口に言っても、そのやり方は1つではありません。移行戦略には定番の分類があり、SAPでは状況に応じて最適な戦略を選ばせる問題が繰り返し出ます。まずはこの分類、通称「7つのR」を押さえましょう。

説明

移行戦略の7つのRは、移行にかける労力と移行後に得られる恩恵のトレードオフで並べると理解しやすくなります。

戦略内容労力得られる恩恵
Retire使われていないので廃止するなしコスト削減
Retain今はそのまま残す(後で判断)なし一旦の先送り
Rehost(リフト&シフト)そのままEC2等へ移す小早く移行できる
RelocateVMwareごと等、環境ごとそのまま移す小ほぼ無停止で移せる
Replatform(リフト&リシェイプ)一部だけクラウド最適化(DBをRDS化等)中運用負荷を減らしつつ移行
RepurchaseSaaSなど別製品に置き換える中自社運用からの解放
Refactor / Re-architectクラウドネイティブに作り替える大スケーラビリティ・俊敏性を最大化
flowchart LR
    Retire["Retire<br/>(廃止)"] --> Retain["Retain<br/>(保留)"]
    Retain --> Rehost["Rehost<br/>(そのまま移す)"]
    Rehost --> Replatform["Replatform<br/>(一部最適化)"]
    Replatform --> Repurchase["Repurchase<br/>(SaaSへ)"]
    Repurchase --> Refactor["Refactor<br/>(作り替え)"]

判断のコツは、問題文の時間軸と目的を読み取ることです。

  • 「データセンターの契約終了が迫っている」「とにかく早く移したい」→ Rehost(労力最小・移行速度最優先)
  • 「まず移してから、運用負荷を下げたい」「DBの管理から解放されたい」→ Replatform(RDSへの移行など)
  • 「自社でメール/CRMを運用する必要はない」→ Repurchase(SaaSへの切り替え)
  • 「長期的にスケーラビリティと俊敏性を最大化したい」「マイクロサービス化したい」→ Refactor
  • 「使われていないと分かった」→ Retire、「判断保留、今は触らない」→ Retain
  • 「VMware環境をそのままクラウドへ、アプリの変更なしに移したい」→ Relocate(VMware Cloud on AWS等)

具体例

「データセンターの契約が3か月後に切れる」という期限付きで、10のシステムを移す企業の判断を見ましょう。全部Refactorが正解ではないのが肝です。

システム制約・状況選ぶR
主力Webアプリ期限が近い、まず動かしたいRehost(後でRefactor)
自前運用のメール・CRM運用から解放されたいRepurchase(SaaSへ)
オンプレのMySQLDB管理の手間を減らしたいReplatform(RDS化)
VMware上の多数のVMアプリを変えず環境ごと移したいRelocate(VMware Cloud on AWS)
誰も使っていない旧ツール不要と判明Retire(廃止)
規制で今は動かせない基幹系判断保留Retain

ここでのSAPの罠が「Refactor(作り替え)が一番良い」という思い込み。期限が近くリスクを取れないなら、作り替えは間に合わずRehostが正解。逆に長期的な俊敏性が目的ならRefactor。7つのRは優劣でなく、制約(時間軸・目的)に応じた使い分けです。まず全部Rehostで運び、落ち着いてからRefactorへ、という段階戦略も定石。

読んでみよう

SAPの移行問題は「Refactorが一番良い」と決めつけると誤ります。期限が近い・リスクを取りたくないという制約が付けば Rehost が正解になりますし、長期的な俊敏性を求めるなら Refactor が正解になります。7つのRは優劣ではなく、状況に応じた使い分けの選択肢として捉えてください。

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