導入
クラウドを使うといっても、全部クラウドに移す会社ばかりではありません。既存のオンプレミス資産を活かしながら少しずつ移行する会社も多くあります。
説明
システムをどこに配置するかという観点で、AWSでは3つのデプロイモデルを区別します。
- クラウド(オールインクラウド) … すべてのシステムをクラウド上に構築する形態。新規事業や、俊敏性を最優先したいシステムに向く。
- ハイブリッド … オンプレミスの既存システムとクラウドを接続し、両方を併用する形態。既存の資産や、法令上クラウドに置けないデータを残しつつ、一部をクラウド化したい場合に向く。
- オンプレミス(プライベートクラウド) … 自社設備内に、クラウドのような仮想化・自動化の仕組みを構築する形態。厳格なセキュリティ要件やレガシーな仕組みが理由で、社外にデータを出せない場合に選ばれる。
flowchart LR
subgraph オンプレ側["社内データセンター"]
S1["既存の基幹システム"]
end
subgraph クラウド側["AWS"]
S2["新規アプリ・分析基盤"]
end
S1 <-->|専用線・VPN| S2
ハイブリッド構成では、AWS Direct Connect(専用線)やVPN(暗号化された仮想的な専用回線)を使って、オンプレミスとAWSのネットワークを安全に接続します。「一気に全部クラウドへ」ではなく、段階的に移行する現実的な選択肢として広く使われています。
具体例
ある地方銀行のケースです。長年動いてきた勘定系システム(入出金の記録)は、規制と安定性の要求が厳しく、簡単にはクラウドへ移せません。一方で、新しく作るスマホ向けの家計簿アプリは、利用者数の増減が読めず、素早く改善を回したい。
そこでこの銀行は、ハイブリッドを選びました。
- 勘定系はこれまで通り社内データセンター(オンプレミス)に残す
- スマホアプリと分析基盤はAWS上に新規構築する
- 両者を Direct Connect の専用線でつなぎ、必要なデータだけ安全にやり取りする
「すべてを移すか、まったく移さないか」の二択ではなく、移せるものから移す現実解として、ハイブリッドは金融・製造・公共など多くの業種で採用されています。
読んでみよう
「新規はクラウド、既存資産はハイブリッドで少しずつ」という移行の考え方は、実際の企業のクラウド活用でも王道パターンです。