導入
すでに社内サーバー(オンプレミス)で大量のデータを運用している場合、それを一気にAWSへ持っていくのは簡単ではありません。回線の細さやデータ量に応じて、AWSには複数の移行手段が用意されています。
説明
代表的な移行・ハイブリッド利用のサービスは次の3つです。
- AWS Storage Gateway … オンプレミスの環境とAWSのクラウドストレージをつなぐハイブリッドクラウドサービス。オンプレミス側からは通常のファイルサーバーやディスクのように見えるが、裏側ではデータがS3などに保存される。既存のシステムを大きく変えずにクラウドストレージを併用したい場合に使う。
- AWS Snow Family(Snowball など) … データを転送するための物理デバイスをAWSから取り寄せ、そこに大量のデータをコピーしてAWSへ送り返すサービス。ネットワーク回線が細い・不安定で、オンラインでのアップロードでは何週間もかかってしまうような非常に大容量のデータ移行に使う。
- AWS DataSync … オンプレミスとAWSストレージの間(あるいはAWSストレージ同士)で、データをオンラインで自動的に同期・転送するサービス。手作業のスクリプトでコピーするより高速かつ簡単に移行できる。
graph LR onprem["オンプレミスのサーバー"] -- 回線が細い・大容量 --> snow["Snow Family(物理デバイス)"] onprem -- 回線はある・自動転送したい --> datasync["DataSync(オンライン転送)"] onprem -- 既存システムをそのまま使いたい --> gw["Storage Gateway(ハイブリッド)"] snow --> s3["S3など"] datasync --> s3 gw --> s3
具体例
映像制作会社が、社内サーバーに溜まった500TBの過去の動画素材をAWSへ移したい、と考えました。
まず試算します。仮に回線が1Gbpsフルに出ても、500TBの転送には理論上でも1か月以上かかり、実際は業務トラフィックと競合してもっと遅くなります。これは非現実的です。そこで手段を分けました。
- 過去の500TBの一括移行 → Snowball(Snow Family) … AWSから届いた頑丈な物理デバイスに社内でデータをコピーし、宅配便でAWSへ送り返す。回線を一切使わずに大容量を移せる。
- 今後、毎晩新しく増える素材の同期 → DataSync … 差分だけをオンラインで自動転送。移行後の“継続的な同期”はこちらが向く。
- 編集チームが今まで通りNASのように使いたい → Storage Gateway … 既存の使い勝手を変えずに、裏側はS3に保存。
「一度きりの巨大移行はSnow、継続的な同期はDataSync、既存システムのまま裏でクラウド=Storage Gateway」と、データ量と回線と運用形態で選ぶのが判断軸です。
読んでみよう
「回線が細すぎて送れない量のデータ→Snow Family」「オンラインで自動的に同期したい→DataSync」「既存システムを変えずにクラウドを裏側で使いたい→Storage Gateway」という使い分けを押さえておきましょう。