導入
ブロックストレージはEBSだけ、ファイルストレージはEFSだけ——ではありません。EC2の内部に直結したインスタンスストアと、WindowsやHPC向けのマネージドファイルシステムAmazon FSxも試験範囲です。どちらも「EBS・EFSでは都合が悪い場面」のための選択肢です。
説明
インスタンスストアは、EC2インスタンスが動いている物理ホストに直接付いているディスクです。ネットワーク越しのEBSより高速ですが、決定的な違いがあります。
- インスタンスを停止・終了すると中身が消える(一時的=揮発性のストレージ)。ハードウェア障害でも失われる。
- 容量はインスタンスタイプで決まっており、あとから増やせない。スナップショットも取れない。
- だからこそ、キャッシュ・一時ファイル・計算途中のスクラッチ領域のように「消えても作り直せるデータ」専用に使う。
| EBS | インスタンスストア | |
|---|---|---|
| 実体 | ネットワーク接続の仮想ディスク | 物理ホスト内蔵のディスク |
| 停止・終了したら | データは残る(永続) | データは消える(揮発) |
| バックアップ | スナップショットが取れる | 取れない |
| 向いている用途 | OS・DBのデータ・残したいもの | キャッシュ・一時ファイル・スクラッチ |
Amazon FSxは、有名なファイルシステムをそのままマネージドで提供するサービス群です。EFSが「LinuxのNFS共有」だけを担うのに対し、FSxはそれ以外の世界をカバーします。
| FSxの種類 | 中身 | 典型的な用途 |
|---|---|---|
| FSx for Windows File Server | Windows純正のSMB共有。Active Directoryと連携 | 社内のWindowsファイルサーバーをそのままAWSへ |
| FSx for Lustre | HPC向けの超高速並列ファイルシステム。S3と連携できる | 機械学習の学習データ、シミュレーション、解析処理 |
| FSx for NetApp ONTAP | NetApp ONTAPの機能をAWSで | オンプレミスでONTAPを使っていた環境の移行 |
| FSx for OpenZFS | OpenZFSベースのファイルシステム | ZFSの機能(スナップショット等)を使いたいLinux環境 |
flowchart TD
Q["共有ファイルシステムが必要"] --> L["LinuxのNFSで十分"]
Q --> W["WindowsのSMB・AD認証が必要"]
Q --> H["解析処理で極限の速度が必要"]
L --> EFS["Amazon EFS"]
W --> FW["FSx for Windows File Server"]
H --> FL["FSx for Lustre"]
具体例
動画配信会社が、3つの異なる要件をそれぞれ別のストレージで解決しました。
- 動画を変換する途中の巨大な一時ファイル → インスタンスストア … 変換が終われば捨てるデータなので、永続性より速度が大事。万一インスタンスが落ちても、変換をやり直すだけで済む。EBSに置くと料金も無駄になる。
- 経理部が使っていた社内の共有フォルダ(Windows) → FSx for Windows File Server … 既存のWindowsファイルサーバーをAWSへ移したい。社員はこれまで通りドライブを割り当てて使い、権限はActive Directoryのアカウントでそのまま効く。EFSはLinuxのNFS向けなので、この要件には合わない。
- 視聴ログからおすすめを学習する機械学習の処理 → FSx for Lustre … S3に置いた学習データをLustreに読み込ませ、数百台の計算ノードから高速に並列アクセスする。
「消えてよい一時領域=インスタンスストア」「Windowsの共有=FSx for Windows」「超高速な解析=FSx for Lustre」。EBS・EFSで足りない要件が出たときの逃げ道として覚えましょう。
読んでみよう
試験では「インスタンスを停止したらデータはどうなるか」が狙われます。インスタンスストアは消える・EBSは残るが最重要。そして「Windowsのファイル共有」と書かれていたらEFSではなくFSxだと反応できるようにしておきましょう。