導入
同じEC2でも、払い方を変えるだけで料金は大きく変わります。「長く使うと約束すれば安くなる」「余っている枠を安く借りる」——コスト最適化の基本を押さえましょう。
説明
第3章でも触れたEC2の購入オプションは、コストの観点で改めて重要です。
- オンデマンド … 契約なしで使った分だけ。柔軟だが単価は高い。短期・予測できない用途向け。
- リザーブドインスタンス(RI) … 1年または3年の利用を約束する代わりに大幅割引。ずっと動かすサーバー向け。
- Savings Plans … 「1時間あたり◯ドル使う」と利用量をコミットして割引。RIより柔軟。
- スポットインスタンス … AWSの余剰キャパを最大9割引で。中断される可能性があるため、止まっても平気なバッチ処理向け。
リザーブドインスタンスには柔軟性の度合いがあり、試験で問われます。
| 種類・性質 | 内容 |
|---|---|
| スタンダードRI | 割引率は最大。ただしインスタンスファミリーの変更はできない |
| コンバーティブルRI | 割引率はやや低いが、期間中に別のインスタンスファミリー・OS・テナンシーへ交換できる |
| インスタンスサイズの柔軟性 | 同じファミリー内であれば、サイズが変わっても割引が自動的に適用される(例:m5.large 用のRIが m5.xlarge の半分に適用される) |
| AZの指定 | リージョン単位のRIはAZをまたいで柔軟に適用。ゾーン単位のRIはそのAZの容量も予約する |
もう一点、AWS Organizationsを使って複数アカウントを一括請求にしている場合、RIやSavings Plansの割引は組織全体で共有されます。あるアカウントで買ったRIが、同じ組織の別アカウントの該当インスタンスにも適用される(共有をオフにすることも可能)ため、アカウントごとに買い直す必要はありません。
ストレージも、S3のストレージクラスを使い分ければコストを下げられます(アクセスの少ないデータは安いクラスへ)。コスト最適化の合言葉は「使わないものは止める・大きすぎるものは適正サイズにする(ライトサイジング)・長く使うものはコミットして割引を受ける」です。
flowchart TD
Q["使い方は?"] --> S["止まっても平気なバッチ"]
Q --> L["ずっと動かす"]
Q --> V["予測できない・短期"]
S --> SP["スポット 最大9割引"]
L --> RI["リザーブド / Savings Plans"]
V --> OD["オンデマンド"]
具体例
月額の請求が膨らんできたSaaS企業が、コスト最適化の“3つの合言葉”で見直しをかけました。
- 使わないものは止める … 開発・検証用のEC2が、誰も使わない夜間・週末も動きっぱなしだった。スケジュールで自動停止するようにし、稼働を平日日中だけに。
- 大きすぎるものは適正サイズに(ライトサイジング) … CPU使用率が常時5%しかない
m5.4xlargeを、Cost ExplorerやTrusted Advisorの提案を見てm5.largeへ縮小。性能は足りたまま料金が数分の一に。 - 長く使うものはコミットして割引 … 24時間動かし続ける本番DBサーバーは、オンデマンドのままだったのをリザーブド(3年)に。加えて、めったに見ない古いログはS3の安いクラス(Glacier)へライフサイクルで移動。
これらを積み重ねた結果、性能を落とさずに月額を大きく削減できました。「止める・縮める・コミットする」——コスト最適化はこの3手の繰り返しです。
読んでみよう
「長期利用の約束=RI/Savings Plansで割引」「止まってよい処理=スポットで大幅割引」「予測不能=オンデマンド」。使い方に合わせて払い方を選ぶのがコスト最適化の柱です。