導入
AWSは世界中にデータセンターを持っていますが、ただ闇雲に建っているわけではありません。「リージョン」「アベイラビリティーゾーン」「エッジロケーション」という階層構造で整理されています。
説明
- リージョン(Region) … 世界の地理的に離れたエリアごとに設置された、独立したAWSのインフラ拠点。例えば東京リージョン(
ap-northeast-1)、米国東部(バージニア北部)リージョンなど。2026年時点で世界に30以上のリージョンがあります。データの保存場所や法規制、レイテンシ(通信の遅延)を考えて選びます。 - アベイラビリティーゾーン(AZ) … 1つのリージョンの中にある、物理的に離れた(独立した電源・冷却・ネットワークを持つ)データセンター群。多くのリージョンには3つ以上のAZがあります。複数のAZにシステムを分散させることで、1つのAZで災害や故障が起きても他のAZでサービスを継続できます(高可用性)。
- エッジロケーション … Amazon CloudFront(コンテンツ配信サービス)などが、利用者にできるだけ近い場所でコンテンツをキャッシュ・配信するための拠点。リージョンよりもはるかに多い数百か所に置かれ、応答速度を高速化します。
flowchart TD
W["世界"] --> R1["リージョン:東京"]
W --> R2["リージョン:米国東部"]
R1 --> AZ1["AZ-a"]
R1 --> AZ2["AZ-b"]
R1 --> AZ3["AZ-c"]
W --> E["エッジロケーション(世界数百拠点)"]
CLF試験では「高可用性のためにはどうするか」という問いに対して、「複数のアベイラビリティーゾーンにリソースを分散する」が定番の正解になります。1つのリージョン・1つのAZだけに頼ると、そこが止まればサービス全体が止まってしまうためです。ここで大事なのは、同じリージョンのAZ同士は電源・冷却・ネットワークを共有していないということです。つまり1つのAZが落ちる原因(単一障害点)が、隣のAZまで巻き込むことがありません。だから「2つのAZに分ける」だけで可用性が上がります。
では、複数のリージョンを使うのはどんなときでしょうか。理由は主に4つです。
| 複数リージョンを使う理由 | 具体的には |
|---|---|
| 災害対策(DR)・事業の継続性 | 1つのリージョンが大規模災害で使えなくなっても、別のリージョンで事業を続ける |
| エンドユーザーのための低レイテンシー | 利用者の近くのリージョンで動かし、応答を速くする |
| データ主権(データレジデンシー) | 「このデータは国内に保管」という法令・規制を満たす |
| サービスの提供状況 | 使いたいサービスや機能が、そのリージョンで提供されているか |
なお、リージョンとAZのほかに、特定の用途に向けた拠点もあります。
- AWS Local Zones … 大都市圏などに置かれた、リージョンの出張所のような拠点。そのエリアの利用者に一桁ミリ秒の低レイテンシーで届けたいときに使う。
- AWS Wavelength Zones … 通信事業者の5Gネットワークの中に置かれた拠点。スマートフォンから極めて近い位置でアプリを動かせる。
具体例
予約サイトを運営する会社が、東京リージョンのAZ-aだけにサーバーを2台置いていました。ある日、そのAZの一部で電源障害が発生。2台とも同じAZにいたため同時にダウンし、サイトは数時間まるごと停止してしまいました。
対策はシンプルです。同じ東京リージョン内のAZ-aとAZ-cに1台ずつ分けて配置し直しました。
- 片方のAZで障害が起きても、もう片方のAZのサーバーが受け続けるのでサイトは落ちない
- リージョンをまたがないので、通信の遅延もほぼ増えない
さらにこの会社は、世界中のユーザーに配る商品画像をエッジロケーション(CloudFront)でキャッシュし、遠い国からのアクセスでも表示を速くしました。「障害に強くする=複数AZ」「速く届ける=エッジ」と、目的で使い分けるのがコツです。
読んでみよう
「リージョンは国・地域単位、AZはその中の独立したデータセンター、エッジロケーションは配信のための拠点」——この3層構造をセットで覚えておきましょう。